発達障害は、脳の機能の一部が偏った発達をしている場合に起こります。
この障害によって人間関係や学習障害など日常生活に対して広汎に影響を及ぼします。
そのような特徴を持つ発達障害は、子どもの段階で発見し個性や能力に応じて適切な対応をすることで、そのマイナスの影響を最小限に抑えられます。
今回は、子どもの発達障害に見られる3種類の症状を中心に解説しましょう。
種類を知る前に発達障害とはどのようなものか?
発達障害は近年注目されるようになっているものの、その重度な状態は知的障害や自閉症などのように障がい者として認知されていました。
そして、社会福祉の観点からさまざまな支援が行われてきたのです。
一方で、そこまで至らなくとも、その傾向がある人に対しては、支援が行われず本人も障害があるという自覚もなかったことから多くの方が苦しんできました。
脳の機能のアンバランスについて注目されたことで発達障害が認知される
このような状況のなか、ようやく変化が訪れたのは1980年です。
アメリカの精神医学会が精神障がいの診断基準「DSM-Ⅲ」を作成しました。
そこで発達障害の1つである「注意欠陥障害(ADD:Attention Deficit Disorder)」を加えたのです。
これまで、明らかな知的障害がなくとも不可解な行動を見せる子どもを「微細脳機能障害(MBD:Minimal Brain Dysfunction)」として分類し、それ以上のことは分からないままでした。
しかし、この分類によって明確な基準が設けられ、発達障害が理解され始めたのです。
一方、日本では精神科医の間で認知されていたものの、行政の対応が行われるようになったのは、2002年です。
このタイミングで、通常学級に在籍している子どものなかにも発達障害と呼ばれる状態の子どもがいるということを発表しました。
これによって日本でも急激に発達障害が注目され、現在の4種類に分類され、対応が行われるようになったのです。
発達障害の原因は?
発達障害は、明らかな知的障害がないものの、脳の発達がアンバランスな状態を指します。
そのような状態となる原因として挙げられるのは、次の点です。
・生まれつきの脳の状態
・遺伝的要素も一部関与が指摘されている
生まれつきの脳の状態
保護者や親族のなかで発達障害のある子に対して、育て方が悪いという指摘や感覚に陥ることがあるものの、実際は生まれつきの脳の状態であることが知られています。
具体的な状態は解明しきれていないものの、脳機能の一部の発達が不十分になるといった生まれつきの特性によるものが原因であることは確かとされています。
よく大人になって発達障害を発症するといった発言をする方が見られるものの、実際多くの場合発達障害以外の別の疾患になっていることがほとんどです。
遺伝的要素も一部関与が指摘されている
専門医の問診では、家族歴の確認も発達障害の診断で行われます。
これは、遺伝的要素も一部関与していることが指摘されているからです。
もちろん、発達障害のある親から発達障害のある子どもが生まれるということは必ずしもありません。
むしろ親が発達障害でないのに、子が発達障害になるといったケースも見られます。
そのため、親が発達障害であれば子どもが100%発達障害になるという訳ではありませんし、親がそうでなければ、子どもの発達障害にならないという保証もないのです。
子どもの発達障害4種類の解説
発達障害やその原因について、解説しました。
最後に子どもの発達障害で見られる種類として次の4種類を紹介しましょう。
・自閉スペクトラム症(ASD)
・学習障害(LD)
・注意欠如/多動症(ADHD)
・発達性協調運動障害(DCD)
自閉スペクトラム症(ASD)
ASDとも呼ばれるこのタイプは発達障害として初期のころから指摘されたタイプである、アスペルガーなどの発達障害を統合した種類です。
特徴は対人関係が苦手で強いこだわりのある状態です。
近年では、早ければ1歳半の乳幼児健康診でも分かるようになってきました。
学習障害(LD)
学習障害は読み書き、計算、聞き取りに困難が生じる発達障害の種類です。
その状態によってさらに細分化され、次のような種類があります。
・読字障害(ディスレクシア)
・書字障害(ディスグラフィア)
・算数障害(ディスカリキュリア)
このタイプは、今挙げた能力が欠落、あるいは著しく低い状態です。
原因がほとんど分かっていないため、診断が難しいとされています。
さらにコミュニケーションも問題なく、知的発達が遅れているといったこともほとんどありません。
注意欠如/多動症(ADHD)
注意力がなく落ち着かない、あるいは衝動性がある状態です。
生まれつきのものであり、子どものころから診断がつきやすい発達障害です。
注意力が散漫なタイプや衝動的な行動が多く乱暴なタイプといった2つのタイプに分けられることもあります。
発達性協調運動障害(DCD)
このタイプは、これらの発達障害に合併していることの多い障害です。
一言でいえば極端な不器用さのある状態で、協調運動運が正確にできない、あるいは時間がかかる、不自然といった特徴が見られます。
単独の場合は、診断がつきにくいのも事実です。
安易な自己判断はしない
発達障害はさまざまなメディアで取り上げられています。
そのため、自己判断で子どもが発達障害かどうかをチェックして、それ以上は何もしないといったことがあります。
ただ、実際の発達障害は専門家が確認をしないと分からないことも多く、先ほど紹介した4つの種類の発達障害も明確な症状がなかったり、症状が横断していたりすることも少なくありません。
そういった意味で、気になる場合は専門の窓口である発達障害支援センターへ連絡するようにしましょう。
まとめ
今回、発達障害の種類を紹介しました。
ただ、これらの症状は典型的なものであり、実際はそれぞれの種類を横断していたり、一部の症状のみが出ていたりなどさまざまな状態があります。
そのため、安易に自己判断するのではなく、まず地域の発達障害支援センターへ相談し、専門医の診察を受けるようにしましょう。
このような対応をしたうえで、その後の具体的な行動についての面談や案内を受けるのがおすすめです。