未就学児の場合は、発達障害があっても人間関係で問題になることはそこまで多くありません。
しかし、小学生以降の子どもは、学校生活全体に影を落としてしまうような状態になることも多く、不登校やうつといった二次障害に進んでしまうケースも珍しくありません。
そこで今回は、発達障害を持つ子どもの人間関係や破たんしてしまう理由、改善点について解説します。
小学生以降の発達障害の子どもと人間関係
小学生以降の発達障害の子どもは人間関係で次のような傾向が見られます。
・社交性がある
・続けるのが苦手
・管理できない部分もある
社交性がある
ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合、落ち着きがない反面、活動的な一面があります。
これによって表現力が高いといった強みも持っています。
さらに人間関係においても社交性が高い子どもが多く、意外にどのような人でも人間関係を持てる力も少なくありません。
続けるのが苦手
全ての発達障害を持つ子どもに共通しているわけではないものの、続ける力がない子どもは少なくありません。
それは人間関係にも言えることです。
管理できない部分もある
人間関係は、時間や約束など相手ごとに情報を管理することが無意識に行われています。
一方、発達障害を持っていると、そういった管理する力が低いことも少なくありません。
これが人間関係の問題になってしまうことも多いのです。
子どもが人間関係で破たんする3つの理由
子どもが学校や放課後等デイサービスなどで人間関係を破たんさせてしまう理由として次の点が挙げられます。
・ルールを守れない
・人間関係が把握できない
・人間関係に飽きる
ルールを守れない
ルールを守れないことが人間関係で破たんする原因の1つです。
発達障害があると、失礼な発言をしてしまうことや時間を守れないといったこともあります。
これが子どもの人間関係に深刻な問題を起こすことも見られます。
遊ぶ約束をしたのにすっぽかされた、嫌なことを言われたというイベントが一度でもあれば、子どもの関係は難しくなるでしょう。
人間関係が把握できない
小学生以降になると人間関係は一気に複雑なものとなります。
小学校だけでも同級生や先生、周囲の大人、同級生の家族、さらに放課後等デイサービスの指導員やメンバー等です。
このように関係が広がってしまうとコミュニケーションも希薄になってしまい、いつの間にか関係が終わっていたといったことも珍しくありません。
そのような状況に発達障害の子どもが生活すると混乱やストレスの原因になることも多いのです。
人間関係に飽きる
同じことをしていると人間関係に飽きてしまうこともあります。
全ての発達障害を持つ子どもが抱えている問題ではありませんが、コミュニケーションを取り合うことなどを面倒に感じてしまい、関係を続けたくなくなってしまうのです。
子どもの発達障害で人間関係を改善するコツ
子どもの発達障害で人間関係を改善するコツは次の3つです。
・相手を尊重する
・無理に多くの人と接しない
・調子を保つ
・距離を意識する
相手を尊重する
どのような状態の発達障害であっても、クラスメートや周囲の人、つまり相手に対して注意力を保つことが大切です。
つい、イライラしていると相手に対してその感情をストレートにぶつけてしまいがちですが、常に自分の感情をコントロールしないと人間関係を良くすることはできません。
このような問題に対しての改善方法として、相手の名前をきちんと覚えておくことや相手の気持ちを意識するといったことです。
見ず知らずの人に対して、よりストレートに失礼なことを言ってしまったり、約束の時間を破ってしまったりといったことも多い傾向が見られます。
一方、人の名前を覚えることで、それがきっかけとなって相手を尊重できるようになる場合もあります。
また、人を尊敬する意味でなるべく相手の良いところ、長所を話題にしてコミュニケーションを取ることも重要です。
無理に多くの人と接しない
人間関係を構築するのは発達障害を持つ子どもにとって苦手な分野です。
そういった苦手分野を無理に対応する必要はなく、子どもの特性に合わせて行くことも重要です。
無理に多くの人と仲良くすることはせず、自分にとって最適な人数の範囲を理解し、ストレスをためない工夫が求められます。
本当に自分が関わりたい人だけと接していき、無理のない範囲で人と接するようにするのがポイントです。
調子を保つ
発達障害の子どもは落ち着きがない、感情の起伏があるなど脳神経の働きも活発になりすぎている状態に陥りがちです。
このような状態では良好な人間関係を築けません。
一方、こういった状態に対しては近年、内服薬も多く開発されており、専門医から処方を受けられるようになってきました。
つまり、必要に応じて服薬で調子を整え、気が散りやすい状態にあるときは、専門医に相談するのがおすすめです。
距離を意識する
発達障害を持っていると、コミュニケーション中、徐々に距離を詰めていくことがあります。
時にびっくりするくらい近づいてしまうことも珍しありません。
これでは相手が理解していないと、気味悪く感じられてしまうことは多いといえるでしょう。
そういった問題の改善点として、同性であれば定規1本分離れる(約30cm)、異性であれば定規2本分(約60cm)離れることをルールにしてもらうようにします。
心理的な距離を取るのは難しくとも物理的な距離を取るのは、理解できることも多いため、距離についてもアドバイスしましょう。
まとめ
発達障害を持つ子どもは他人とのコミュニケーションが苦手であったり、問題を抱えやすかったりといったことが多く見られます。
一方で、苦手といっても小学校以降は集団生活が求められるため、コミュニケーションをおざなりにすることはできません。
今回は、小学生以降の発達障害を持つ子どもの人間関係をテーマに解説しました。
発達障害を持っているとさまざまな原因で人間関係がうまくいかないことも多く、特に気づかないうちに相手を不快にさせてしまう一言を話してしまうケースが少なくありません。
そういった状況を把握して接することで、発達障害を持っていてもスムーズな人間関係を築いていくことは決して不可能でないでしょう。