発達障害は生まれつき?その種類や対応のポイントについて解説

発達障害は、生まれつき脳の働き方の違いや発達の状態によって、幼少時から行動面、情緒面で特徴が見られます。
そのため、保護者が育児で違和感を覚えたり、悩みを抱えたりといったケースも珍しくありません。

しかし、生まれつきの発達障害といってもさまざまな種類があり、個々の状況によって苦手なことや問題行動の内容、学習障害など違いや特性があることを理解する必要があります。

今回は、子どもの発達障害について、その種類や症状、適切な対応などを注意点も踏まえながら解説していきます。

 

改めて知りたい発達障害

発達障害は、生まれつき脳の発達や働き方の違いによっておこるものです。
しかし、発見が遅れたり、特徴がみられにくかったりといった理由から、大人になって発見されることもあります。

かつては、発達障害の認知度が不足していたため、そういったケースでは本人のやる気や努力不足、保護者の育て方の問題といった形で片づけられることも多く見られました。

ただ、発達障害は生まれつきのものであり、大人になって後天的に発達障害になったというわけではありません。

たまたま人間関係や仕事でつまずいてしまい、そのとき初めて発達障害に気づくケースがあって発覚するというのが大人になってわかる理由です。

それでも、環境とのマッチングによって、発達障害を持っていてもさきほど触れたような欠点になることもあれば、ほかの人には見られない特徴が強みになって長所になることもあります。

支援では、そういった個性を長所として活かしたり、日常生活で起こる問題を緩和したりする目的で行われます。

まずは、発達障害について理解し、周囲の人も正しい発達障害の理解をすることから始める必要があるといえるでしょう。

 

主な発達障害の種類

発達障害には自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)、そして学習障害が挙げられます。

これらのうち、学習障害は早い段階で発見されることが多いものの、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)は、成人してから発覚するケースも少なくありません。

次の項目ではそれら3種類とそのほかのタイプについて解説しましょう。

 

自閉スペクトラム症(ASD)

かつて自閉症やアスペルガー障害とも呼ばれた発達障害です。
コミュニケーションの欠陥や関心の限定、行動を繰り返すといった特徴があります。

まず、コミュニケーションの欠陥としては、身振りや表情、視線や言葉が一致しない、不自然な点が多い点がみられます。
これによって相手を不用意に怒らせてしまったり、気持ちが分からなかったりといったことも少なくありません。

また、会話がかみ合わないといったケースもみられます。
ニオイや音に感覚が過敏となることもあるので、それが気になってコミュニケーションが取りにくくなることもあります。

次に関心の限定も挙げられます。
特定の分野に強い関心を持っていたり、こだわりが強かったりするような状態です。

これは、長所として活きることも多いのですが、他人に対する興味が乏しいという欠点にもつながってしまいます。
それによって、相手の気持ちや状況を理解することが苦手になることも少なくありません。

行動を繰り返すこともあります。

特定の作業を延々と繰り返すような作業では大きな強みになりますが、生まれつきこういった特徴があると、図工の授業が終わったのにずっと図工をしているなどの問題行動がみられる場合があります。

臨機応変の業務ができない欠点にもなるので注意が必要です。

 

注意欠如・多動症(ADHD)

忘れ物や遅刻などの不注意を始め、集中できないといった特徴がみられます。

注意し続けることができないため作業にミスを生じやすいことから問題になるケースも見られます。
ケアレスミスや遅刻、忘れ物など学校生活や社会生活で問題行動になってしまうケースも少なくありません。

集中できない点もトラブルの原因になることが多く、人が話している間に発言したり、タスク管理が苦手であったりします。
こういったことから仕事で問題になることも多く出てきます。

ただ、こういったタイプの発達障害は生まれつき好奇心が強く、行動力や決断力もあります。
また、発想力や独創性に優れていることから芸術家として成功するケースも少なくありません。

さらに一度集中力を発揮すると文字通りてこでも動かないくらい作業に没頭します。

 

学習障害

学習障害は、読み書き、聞き取り、計算ができないのが特徴です。
すべてできないケースもあれば、特定の分野だけでできないケースも見られます。

発達障害では、早い段階から明らかに異常が見つかるケースが多いため、早期発見、早期支援の対象になりやすい発達障害です。

一見、著しく社会生活に問題がありそうな印象を受けますが、海外ではスターとして成功するケースもあり、必ずしも深刻な問題になるというわけではありません。

 

そのほかの発達障害(チック症、吃音)

主に上記の発達障害が分類されますが、チック症や吃音(きつおん)なども発達障害に含まれるケースも見られます。

チックとは不規則で突発的な動きや発声をしてしまう症状です。
疾患として治療の対象になることも多いのですが、発達障害の1つとして分類されることもあります。

吃音とは、声がどもる状態です。
発音がうまくいかなかったり、声が詰まったりといった状態ですが、こちらも発達障害と並行して発生することもあります。

 

まとめ

発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害、学習障害などの種類があります。
今回紹介した種類以外にも、それらを横断しているケースやそれらに当てはまらないケースといったものも少なくありません。

このような状態がみられる発達障害がある場合、早期発見や早期支援を行い、専門家に相談することで二次障害の予防をしたり、長所を十分生かして自立のための支援を受けられます。

もちろん、家庭や学校などの周囲の環境整備も重要ですが、まずは生まれつきある、発達障害を早く発見し、適切な対応を行うことが重要といえるでしょう。