ー社会人になってからの発達障害との付き合い方【自分・同僚】ー

仕事でミスを連発する、相手を怒らせてしまう、こういった問題は発達障害の特性の可能性があります。
一方で、就職したら同僚がミスを良くしたり、自分に対して腹の立つことを真顔で言ってきたりといったトラブルに遭遇することも少なくありません。
このような問題に対してどのような付き合い方をすればいいのでしょうか。

そこで今回は、日常生活で発達障害が疑われる自分との付き合い方や仕事上で接する必要がある発達障害の同僚に対しての付き合い方について解説します。

 

自分が発達障害だった場合の付き合い方

社会に出て自分が発達障害、あるいはそれが疑われる状態だったと気づくことがあります。
この場合は次のような対処法を取るのがおすすめです。

・仕組みを工夫する
・同僚に理解してもらう
・向いている仕事を探す

 

仕組みを工夫する

仕組みを工夫するようにしましょう。
たとえば、メモを多用して忘れ物を予防し、スケジュール管理をすることです。
安易に頭で覚えようとしてもなかなか覚えられず、ミスを連発します。
そのため、すべきことをメモして理解するようにしましょう。
また、チェックして対応するなどの方法も有効です。

 

同僚に理解してもらう

同僚に理解してもらうことも重要な付き合い方です。
発達障害の診断を受けたら、発達障害であることを勤務先に伝えて特性に合わせたサポートを受けます。
こういった合理的配慮をしてくれる職場は徐々に増えてきており、「こういう場面(業務)では、発達障害(診断名)といった特性によりこのように困りやすい」と説明するのがポイントです。
診断名だけだと周囲が過剰に反応して、仕事ができなくなるのでできることをきちんと伝えるのが重要です。

 

向いている仕事を探す

どうしようもない場合、理解が得られない場合は、転職も考慮に入れましょう。
没頭できるものがあれば、そういった分野の技術職や職業を目指すのがおすすめです。
また、手順の変化に負担を感じる場合は量の変化が少ない職種を目指します。
このように特性に合った就業を目指しましょう。

 

同僚や部下が発達障害だった場合は

同僚や部下が発達障害だった場合の付き合い方も重要です。
ポイントとしては次のような点を押さえて対応しましょう。

・努力への肯定
・特性に合った方向性を示す
・異変の察知
・専門家への相談

 

努力への肯定

社会では、結果至上主義から努力を認めない風潮があります。
そのため、結果を出せない発達障害を持つ方は、この風潮に対して問題行動が多いといえるでしょう。

しかし、そのような状況に対して努力が足りないなど、努力を否定することは禁忌です。
発達障害を持っていても、知能低下はないか、むしろ知能が高いケースすらあります。
そのため、本人も何らかの努力をしていることは事実なのです。
このような状況に対して安易に努力不足と指摘せず、どのような原因で問題行動を起こしているのかを把握するようにしましょう。

 

特性に合った方向性を示す

問題行動が気になる場合は付き合い方として特性に合った方向性を示すことも重要です。

問題行動を防ぐための仕組みを考えたり、改善するための方法を提案してみるのです。
具体的にどうすればいいか分からない場合は、後述する専門家への相談をするのが良いでしょう。

 

体調の察知

発達障害は、不眠や食欲不振、無気力といった症状を伴う場合があります。
これは発達障害で生じる二次障害と呼ばれる問題で、うつ病や強迫性障害などの精神疾患が生じている恐れもあります。
この場合は、精神科の受診を進めるなど異変に察知することが重要といえるでしょう。

専門家への相談

専門家へ相談することも重要です。
ただ、これは発達障害を持つ本人だけでなく、同僚も相談するのがベストです。
単に本人のせいにするのではなく、職場にいる以上は発達障害を理解し、仕事で成果が上がるように協力することも求められます。
そういった意味で専門家への相談は、発達障害を持つ人やその周囲の人にとって重要な対応方法です。

次の項目では、専門家への相談について解説しましょう。

 

発達障害で困っていたら相談しよう

発達障害の付き合い方で困ったら相談をするのがおすすめです。
主に次のような場所で相談することで、自分や同僚が発達障害だった場合の付き合い方がわかるはずです。

・地域の相談センター
・専門医

地域の相談センターはさまざまな相談に対応

発達障害の支援として地域に発達障害者支援センターが設置されています。
ここでは、発達障害と診断を受けていないものの、社会生活で困っている方や発達障害と診断されていて職場で困っていることが多いといった方の相談に乗ってくれます。
さらに同僚が発達障害だった場合、同付き合い方に気をつければ良いのかといった点についても相談に乗ってくれるでしょう。

 

発達障害の専門医も心強い味方

発達障害はその多様性から発達障害の専門医に相談するのも重要です。
確かに発達障害は完治させるのが難しい特性です。
ただ、治療法については薬物療法、生活療法といった治療法が確立されており、それに沿って治療することでうつ病や統合失調症などの二次障害を予防し、状態の緩和が期待できます。

生活療法とは、障がいについての自己理解を進めるための心理療法や認知行動療法、さらにはトレーニングとしてソーシャルスキルのトレーニング(SST)を実施しています。
このSSTは、さまざまな場所で実施されており、主な場所でも次のようなところで実施されています。

・地域活動支援センター
・障害者職業センター
・就労移行支援事業所

これらの場所も地域によって異なるので、専門医に相談してみるのがおすすめです。

また、専門医がどこにいるか分からない場合は、ネットで調べるのも良いですが、地域の発達障がい者支援センターに相談し、通いやすそうな専門医を教えてもらうのもポイントです。

 

まとめ

発達障害があると日常生活だけでなく、仕事でもさまざまな不自由が起こります。
また、社会人になった場合、自分だけでなく同僚が発達障害という可能性もあります。
このような状況に対してどうすれば良いのか、自分の対処法や同僚の対処法について解説しました。

さらに自分のことで困った場合は相談センターや医師などのサポート体制もあります。
一人で悩まず、そういったところで相談をして、どう生きていけば良いかアドバイスを受けることも重要です。