発達障害は子どもの頃から出現し、日常生活に支障をきたすこともあるため、未就学の頃から支援が必要です。
特に人との接し方や学習といった行動を理解する手助けが大切であり、学校教育が始まる前から支援を試みることが二次障害の予防につながります。
そんな未就学の子どもを対象とした発達障害の支援が児童発達支援です。
今回は、児童発達支援とは何かといった話題や利用手続きの手順、支援の内容についてお伝えします。
そもそも児童発達支援って
児童発達支援は、未就学の子どもを対象にした発達障害を持つ子どもの支援サービスです。
このサービスを提供する児童発達支援事業所では「発達支援(本人支援及び移行支援)」、「家族支援」、「地域支援」の3つの支援が実施されています。
発達支援(本人支援および移行支援)
子どもに対して直接支援する支援内容です。
まず、本人支援では具体的には将来日常生活や社会生活を円滑に営めるように次のような内容が実施されています。
・言語・コミュニケーションの獲得に関する領域:言語・コミュニケーション
・人との関わりに関する領域:人間関係・社会性
・心身の健康や生活に関する領域:健康・生活
・運動や感覚に関する領域:運動・感覚
・認知と行動に関する領域:認知・行動
次に移行支援は、地域の保育や教育へ支援を受けられるようにして、発達障害の支援対象でない同年代の子供たちと接することができるように配慮する支援です。
このように本人支援と移行支援の両輪で発達障害の子どもを支援します。
家族支援
発達障害の子どもを持っている家族に対して様々な支援を受けられます。
たとえば支援ニーズの確認を行った後、どのような支援が必要か確認したリ、ペアレントトレーニング指導や子供との関わり方に対する相談を受けたりします。
地域支援
児童発達支援の事業所を中心として子どもの地域での支援を実施します。
個々の子どもに対して加地を検討し、その課題を地域と共有するといったコーディネートを行ったりするのもサービス内容です。
子どもが児童発達支援を利用するまでの流れや手続き
ここまでの解説をみて、子どもに児童発達支援を受けさせたいと考えた方も多いのではないでしょうか。
ここでは、児童発達支援の手続きの流れや利用の流れについて次のような順番でみていきましょう。
1・児童発達支援の利用についての説明や相談
2・児童発達支援の施設を見に行く
3・受給者証に必要な申請証などを提出する
4・審査を受けて結果を待つ
5・受給者証の交付
6・児童発達支援の施設との手続き
7・利用スタート
1・児童発達支援の利用についての説明や相談
住んでいる市区町村の役所の福祉担当窓口または障害児相談支援事業所へ児童発達支援の利用などサービス利用したいという内容で相談を行います。
相談を受けて児童発達支援を利用するのに必要な受給者証をどのように申請するのか、必要な書類は何かといったことを教えてくれます。
自治体によって手続きに必要な書類が変わることも多いため、具体的な手続きについて教えてもらうのもおすすめです。
2・児童発達支援の施設を見に行く
発達障害の子どもを受け入れてくれる施設へ実際に行ってみましょう。
子どもが施設になじめそうか、スタッフの対応はどうかといった点をチェックします。
もし利用を前向きに検討している場合は事業所の意見書など必要な書類をここで作成してもらうことになります。
3・受給者証に必要な申請証などを提出する
利用したい児童発達支援の施設が決まったら、指定障害児相談支援事業者に利用する予定の子どもの心身の状況や今置かれている環境、発達障害の支援を受けるための利用計画案である「サービス等利用計画等」を作成してもらいます。
この書類は家族や支援者がセルフプランという形で作成できるものの、専門的な知識が要求されることもあるため、相談支援事業者による作成が基本です。
その上で自治体へ申請を行いますが、基本的に次のような書類を用意しておくことが求められます。
・障害児支援利用計画案(もしくはセルフプラン)
・障害児通所給付費支給申請書
・医師などの意見書
・身分証
(以下はあれば用意しておくもの)
・療育手帳
・障害者手帳
ただし、これらは一例であり、自治体によって異なります。
そのため、事前に確認しておくと良いでしょう。
4・審査を受けて結果を待つ
自治体の職員または指定された調査員が子どもの発達障害の状態や家庭環境、生活の状況などについての聞き取り調査を実施します。
この調査をもとに受給者証を発給するための利用条件をクリアしているかどうか、あるいは子どもが受けるサービスの日数についての給付が審査されます。
その上で審査に通ったら給付決定となり受給者証の発行が行われる流れです。
ただし、ここまでに車で1ヶ月以上かかることもあるので注意しましょう。
5・受給者証の交付
支給が決まったら、受給者証が交付されて子どもの住所宛に届きます。
ここには次のような内容が記載されています。
・障害児通所支援の種類
・通所給付決定の有効期間
・支給量(どの程度通えるか) など
この受給者証が交付されて初めて子どもの発達障害に対する支援が本格化され児童発達支援の施設への利用が可能となります。
6・児童発達支援の施設との手続き
利用する予定の児童発達支援事業所と決めた通所計画をもとにして、内容を決定し、契約を行います。
7・利用スタート
児童発達支援の施設で利用する契約が結ばれたらサービスの利用もスタートします。
子どもが児童発達支援の施設へ通所し、自立やコミュニケーションの訓練を受けられます。
まとめ
発達障害の子どもを支援する児童発達支援とは、児童福祉法に基づくサービスとして数えられ、未就学の年齢の子どもに対応した支援を行っているのが特徴です。
保護者だけでは支えるのが難しい発達障害の未就学児に対し、社会性や自立の獲得、さらにコミュニケーションの学習といったことを通じて将来的な負担を軽減することに役立てています。
さらに一人ひとりに合わせた支援を早期に行っておくことで必要なスキルも早い時期から獲得できます。
もし、発達障害で未就学の子どもの問題を軽減したいと考えている方は、今回紹介した児童発達支援の利用を検討してみましょう。