ーADHD(注意欠如・多動性障害)のある子どもに見られる行動は?ー

発達障害のうち、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある子どもは問題行動の一つとして多動があります。
もちろん、これ以外にも生活に支障や困難がある特徴のみられるケースも少なくありません。
そこで今回は、発達障害のうち、多動に特徴があるADHDの子どもにフォーカスして、どのような行動があるのかといったテーマを中心に解説します。

ADHDの子どもによくみられる行動:多動以外にも

ADHDの子どもによくみられる行動を見ていきましょう。
ADHDといえば多動をイメージしますが、多動を含めて次のようなものが挙げられます。

・多動
・注意散漫
・忘れ物
・ルールを守らない
・従えない

多動:ADHDの典型的な行動

ADHDは発達障害のなかでも注意欠如・多動性障害と呼ばれる分類がされています。
つまり、多動は典型的な行動パターンとして知られており、授業中に立ち上がって歩いたり、途中でどこかへ行ってしまったりといった問題行動を起こします。

 

注意散漫:別の行為をしてしまう

気が散りやすい、集中力が途切れやすいといった行動もAHDHで見られます。
たとえば、与えられた課題のなかで別のことをしてしまったり、急に手が止まって課題をやめてしまったりといった行動です。

 

忘れ物:宿題などを忘れる

忘れ物が多く、ものをなくしてしまったり、落とし物をしてしまったりといったことが多くあります。
ものごとを忘れることも頻繁に見られ、宿題を忘れたりします。

 

ルールを守らない:止められない衝動

衝動的に行動することも多いのが特徴です。
とにかく待つことにストレスを感じ、列に並ばずに割り込んだりといった問題行動をしてしまうケースも少なくありません。

 

従えない:反抗しているわけではない

静かにするように指示されても話を続けてしまったり、集中しなさいと言っても注意が散漫になったりといった指示に従わない行動を取ることもあります。
これらは、理解していても行動に移せないことで問題行動として見られることが多いのです。

 

ADHDのある子どもとの接し方:5つのポイント

発達障害であるADHDは多動を中心に問題行動がみられるケースも多くあります。
そのような発達障害に対して対応できる方法は次の5点です。

・対策を一緒に考える
・動ける時間を設定する
・声かけをこまめに行う
・良いところに目を向ける
・できることに注目する

 

対策を一緒に考える:子どもと探す対策

多動のある発達障害の子どもを観察するとどのような場面で失敗することが多いか徐々にわかってきます。
わかってきたら、そのたびに子どもと一緒に対策を考えることが重要です。
たとえば、事前確認したら忘れ物が減ったといった成功体験を積み重ねて子どもの特性と付き合い方を探すようにしましょう。

 

動ける時間を設定する:メリハリのある生活を

じっとする必要がある場面では多動性を抑えつけるのではなく課題の途中で小休止を入れるようにしましょう。
このようにすることで動ける時間と静かにする時間のメリハリがついてきます。
また、体を動かせるほかの役割を持たせるといった手段も多動には有効なケースが少なくありません。

 

声かけをこまめに行う:失敗の予防策

多動な子どもは、衝動的な行動が少なくありません。
こういった状況に対して、事前に順番に並ぶといったことをアドバイスするのもおすすめです。

また、発達障害でない方にもいえることですが、気が散らないような机周りの整理や準備物のチェックなども多動以外の発達障害の行動に対して有効です。

失敗を未然に防ぐためのサポートを行い、徐々に自分で予防できることを目指していきましょう。

 

良いところに目を向ける:悪いところだけではない

多動がある、発達障害があるといっても、自分の好きなことに対しては集中力を発揮する子どもも少なくないのが事実です。
子どもの強みや良いところに目を向けて、どのようにすれば伸ばせるかをサポートしたほうが、子どもの才能も伸ばせたり、あるいは本人の自信にもつながるはずです。

 

できることに注目する:できることは思った以上に多い

発達障害の子どもと接する際に、できないことの方へどうしても目が行きがちです。
しかし、できないことばかりこちらから注意してしまうと、どのような子どもでも自信を失ってしまいます。
できることに注目して、そちらに対してほめたり、励ましたりといったポジティブな対応をすることで、達成感を覚えたり、次への自信や、やる気にもつながっていくはずです。

 

困ったらまずは発達障害者支援センターや支援団体へ相談

今回は発達障害のうち、ADHDの子どもについて解説していますが、具体的な接し方は何となくわかったものの、より正確で具体的な知識や対応方法、支援について知りたいという方は多いはずです。

そのようなときに利用したいのが発達障害者援センターや支援団体です。
多動についてどうにかしたいという保護者の方も一人で抱え込まず、行政や行政が指定した団体の運営している発達障害者支援センターへ相談しましょう。
具体的な支援の方法や多動に対するアドバイスについて得られるはずです。
また、支援団体に相談してみるのもおすすめです。
こちらも具体的な対応方法や行政の支援で利用できるところなどを紹介してくれます。
場合によっては発達障害の診断を行っている専門病院の案内も期待できるでしょう。

まずは専門家に相談し、必要な対応方法を知ることで、発達障害の本人だけでなく家族や周囲も、より安心して生活できるようになります。

 

支援によって対応策がトレーニングできる

さらに発達障害の支援を受けることで、さきほど紹介した各対策、たとえば多動の代替となる動作や課題の途中の小休止のタイミングといったことも学べます。
子ども自身で多動をコントロールできるようになれば、本人の自己肯定感も上がり、自信をもって日常生活を過ごせるようになるはずです。

 

まとめ

発達障害のADHDは多動などの行動が問題になることもほとんどです。
そのため、今回紹介した行動を理解し、適切な対応を行うことで、子ども本人にも精神疾患のような二次障害を予防し、より快適な日常を過ごせます。
もし、ADHDと診断され、何らかの対処が必要になった場合は、発達障害支援者センターに相談し、支援を受けるようにしましょう。

そうすることで、今よりも良好な子どもとの関係の構築や、子ども本人の過ごしやすさが実現できるはずです。