発達障害の一種・多動性障害の特徴とは?経過や支援も紹介

発達障害は、脳の一部の機能の発育が不十分な状態のことで、いくつかの種類に分類されます。
そのなかに多動性障害(注意欠如・多動症、ADHD:Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)と呼ばれるものがあります。

この障害は主に行動によって生活に支障をきたすことがあり、日常生活が困難になるケースも少なくありません。
また、周囲の理解不足によって、精神疾患を発症し、二次障害に至ることもあるのです。

今回は、発達障害の一種である多動性障害の特徴や経過、実施されている支援について紹介します。

 

多動性障害とはどのようなものか?

多動性障害とは、発達障害のうち注意を持続させることが困難な状態のことをいいます。
ここでは多動性障害の特徴について解説しましょう。

 

2つのタイプに分かれる多動性障害

多動性障害は注意欠陥多動性障害と呼ばれるものです。
不注意が特に目立つタイプと、多動性や衝動性が目立つタイプに分けられるとされています。

実際、注意欠陥多動性障害の方を見ると、その2つの特徴の片方を持っている人や、あるいは両方持っている人がいます。
言い換えれば、2つのタイプのそれぞれの特徴を知ることで注意欠陥多動性障害の全体像が見えるということです。

 

不注意が目立つタイプの注意欠陥多動性障害の方の特徴

不注意が目立つタイプの注意欠陥多動性障害の方は、忘れ物を頻発したり、片付けが苦手だったり、行動がワンテンポ遅かったりします。
また注意力が散漫で、集中力が持続しないことも少なくありません。

加えて指示されたとおりに動けなかったり、相手の話を聞いていないような印象を与えやすかったりします。

イメージ的には要領が悪い人のように見えてしまうことがあるとされています。

 

多動性や衝動性が目立つタイプの注意欠陥多動性障害の方の特徴

多動性が先行する発達障害の方もいます。

このようなタイプの方は、じっと座っていられないことや静かに遊べない、何も考えずに動き出してしまう、止まらない、しゃべり続ける、順番が待てない、些細なことで怒り出すといったことが特徴です。

7歳未満でそういった症状が生じることも多く、集団行動をとりにくいという特徴があります。

イメージ的には乱暴者のような雰囲気を持っているか、それをさらに先鋭化させたような印象を与えるとされている状態です。

 

発達障害の注意欠陥多動性障害は未就学児の時点で明らかになる

大人になって発達障害が分かるといったケースがあるといわれるなか、注意欠陥多動性障害は、未就学児の頃から特徴がはっきりしてきます。

幼稚園や保育園で気になることがあると席を立ってしまったり、未就学児にも判断できるようなTPOを無視していつでもどこでもしゃべってしまったりといった行動を起こします。

時としてほかの子どもへの攻撃性もあり、人の邪魔をすることも珍しくありません。

周囲と異なる印象を与えることが多いため、早期に発見されることが多い発達障害です。

 

注意欠陥多動性障害の経過とは?

注意欠陥多動性障害の経過は、大人になると改善が見られていくものの、その間に自己肯定感が傷ついた場合、二次障害を発症するケースが多くあります。

これによって精神障害を負うことが多く、注意欠陥多動性障害の困難さに加えて精神障害の症状による困難も伴うのです。

このような状態にならないために支援を行い、自分らしく自立していくことが求められます。

 

薬物療法で多動性障害の状態を緩和させることもできる

近年の精神医学の発達により薬物療法で状態を緩和することも実現しつつあります。

タイミングに合わせて適切な薬剤を選択することで、効果が期待できる反面、処方できる専門医や調剤できる薬局が限定されているので、専門医の診察や治療を受けることが重要です。

 

注意欠陥多動性障害への支援が重要

先ほども触れたように問題となるのは発達障害だけでなく、生活上の困難による二次障害の発症です。
この二次障害を発症させず、自立した生活を送るためには、生涯にわたって支援をしていくことが求められます。

成人するごとに生活への支障は軽減されていくことが多いですが、どのような場面で困難に直面するかは変化していきます。
ここでは未成年への支援と成人以降の支援について解説します。

 

未成年の支援について

注意欠陥多動性障害のような発達障害は、早期発見して支援を開始することが重要です。

たとえば、わかりやすく指示を伝える、感情的な叱り方を避ける、集中しやすいような環境を整備するといったことを行います。
また、学習障害も併発している場合は課題を小分けにしたり、休憩を挟んだりといった工夫をすることが求められます。

専門の施設やサービス、発達障害の理解など、支援の充実度は徐々に進んでおり、そういった専門機関や周囲の力を借りて支援を受けるといったことも必要です。

 

成人期の支援は異なる

注意欠陥多動性障害の方も成人期になると自分なりの生活の仕方を見つけられるようになってきます。
しかし、金銭管理や家事、子育てといった点で問題になるケースも少なくありません。

医療機関でも一定の支援を行いますが、限界があります。

そのため、家族や職場の理解を確立して、周囲でも支援することが重要です。
二次障害として精神疾患を発症してしまうケースもあるので、その治療も含めて支えていきましょう。

そうすることで、注意欠陥多動性障害を持っている方でも自立した生活を送ることが可能となります。

 

まとめ

発達障害の一つに多動性障害というものがあります。
今回は、多動性障害とはどのようなものなのかといった特徴を中心に、その経過や実施されている支援についてまとめました。

現在多動性障害の問題を完全に解決するための治療法は確立されていません。

のため、多動性障害を持ちながら、どのようにして日常生活を送り、発生する困難を克服するかといった点が重要になります。
もし、身近な方が多動性障害だとわかったら、まずはその特徴について理解し、支援が必要な場面では支援をするようにしましょう。