療育という言葉があります。
これは発達支援の別名であり、障害(障がい)のある子どもへの支援方法の一つとして用いられる手法です。
子どもの支援というと保育園などの施設をイメージしますが、この発達支援は専門の施設で行われる必要性があります。
しかし、この発達支援の意味が分からない方も多く、認知度も高くありません。
今回は、療育(発達支援)とは何かといったテーマを中心に、早期療育する必要性、実施している施設を解説します。
さまざまな事情で発達支援が必要となった子どものご家族や周囲の方が発達支援について多くの知識を得られるでしょう。
そもそも療育(発達支援)とはどんな支援なのか?
必要性を冒頭で解説しましたが、発達支援とは、障がいのある児童を含めた子どもたちが自立した生活を遅れるために実施する支援です。
児童福祉法に定められた支援であり、その効果は公的にも認められているのが特徴です。
ただ、ここで気になる方もいるかもしれませんが、障がいには様々なタイプがあります。
身体的な障がいを持っている身体障害や知的な障がいを持つ知的障害、さらには最近注目されている発達障害なども障がいに該当します。
これらの子どもたちのそれぞれの特性に応じて柔軟に幅広い支援を行い、さらにご家族の発達相談に応えることもその目的に含まれているのが特徴です。
すべての希望する子どもが利用できるわけではなく、専門病院を受診したうえで、各自治体から発行される受給者証を持っている場合のみに利用できる点も知っておきましょう。
発達支援で期待できる効果や実施されている手法
発達支援の必要性を知るうえで期待できる効果を知っておくことが重要です。
ここでは期待できる効果や実施されている手法について紹介します。
まず、発達支援で期待できる効果は次の3つです。
日常生活の必要能力の取得
発達支援を行う必要がある子どもは、日常生活で支障をきたしているケースが少なくありません。
排せつや身支度ができないだけでなく、基礎的な運動能力も本来の力を出し切れていない場合があります。
さらに学習能力のポテンシャルが埋もれていることも少なくありません。
このような状態に対して発達支援による介入を実施することで、日常生活動作で可能な動作が増えるだけでなく、運動能力も向上します。
これによって日常生活の必要能力の取得が可能になるのです。
身体を動かしたり、日常生活の能力が向上することで学習能力も開発され、環境に左右されない自立した生活が送れることも期待できます。
自己肯定感の向上
自己肯定感を高める効果も注目されています。
障がいがある子どもは、同年代の周囲に比べてできないことが少なくありません。
それによって劣等感を覚えることが多いとされています。
しかし、発達支援を実施することで、課題をクリアし、できることが増えるため、それによって自信を獲得して自己肯定感が高まるのです。
コミュニケーション能力や社会性の獲得
最後が社会性やコミュニケーション能力の向上です。
発達障害児は「待つ」「話を聞く」などの社会性やコミュニケーション能力が遅れることが少なくありません。
言葉を使ったコミュニケーションが取れるようになるために様々な課題の自己解決の支援や同じ発達支援を受けている児童との間でのコミュニケーションを通じて能力が向上します。
発達支援という社会集団の中でコミュニケーションをスムーズに取れるようになることも期待できます。
発達支援で行われている手法について
主なものだけでも次のような4つの手法が実施されています。
箱庭療法
砂の入った箱におもちゃを設置して行ってもらい、心の中を分析していきます。
言語に支障がある子どもに有効な療育です。
SST(Social Skills Training、生活技能訓練)
日常で起こりそうな場面をロールプレイする手法です。
これで、コミュニケーションの練習を行えます。
TEACCHプログラム(自閉症及び関連するコミュニケーション障がいをもつ子どもたちのための治療と教育)
イラストやボードで今からすることを伝える手法など、自閉症の子どもを対象にしたアプローチです。
自閉症の子供は目に入った情報を整理しやすいので、視覚的に指示をしたり、各種の工夫を加えていってコミュニケーションを訓練します。
認知行動療法
精神療法としても利用される手法です。
この手法を使うことで気持ちの部分にアプローチでき、子どもが自分自身でストレスに対応できるように支援していきます。
これらの内容によって発達支援を行っています。
早期療育が必要な理由
ここからは、保育現場で発達支援が早期療育である必要性について触れていきます。
一言でいえば二次障がいを予防することです。
障がいによっておこる心理面や行動面の問題で、本来は発生することのない新たな障がいが起こってしまうことを指します。
例えば、発達障がいの場合の二次障がいは、うつ病の発症を中心とする適応障害、不安障害などです。
先ほど触れた自己肯定感の低下も二次障がいといえるでしょう。
このように本来であれば発生しない新たな障がいも発達支援を早期に行わないと発生してしまう可能性が一気に高まるのです。
二次障害は、対応が遅れるほど発症する可能性が高くなる傾向があるため、早期のうちに対応する必要があります。
また、発達障がいは、外見的にも知的にも障害があるように見えないことも少なくありません。
そのため、発達支援が遅れて、後々二次障がいを発生させてしまう事もあるのです。
発達支援が受けられる施設とは?
最後に発達支援が受けられる施設を紹介しましょう。
主に担っているのが、未就学児の場合、療育センターや児童発達支援センター、児童発達支援事業所です。
もう少し大きくなって児童になったら、放課後等デイサービスなどが療育を担当しています。
保育園や学童と異なり、作業療法士や理学療法士、児童指導員といった障がいの専門職も一般的な保育スタッフと共に活躍しているのが特徴です。
まとめ
発達支援は早期療育が必要です。
その理由として二次障がいの予防が重要だからです。
そんな発達支援は、障がいのある子どもを対象に自立のための支援を行う施設で、専門的なアプローチから成長を促していきます。