発達障害の種類と困りごととは!?子どもの発達支援で大切なこと

発達障害とは脳機能の発達の偏りによる生まれつきの障害です。
発達障害を持つ子どもはその特性で困りごとを抱えているケースが多くあります。

特に人との関わりが上手く行かず、性格と捉えられて非難されることも珍しくありません。

発達障害の特性の困難さは特性に合った支援を行うことで軽減されると言われており
それぞれの特性に合ったサポートが必要です。

ここでは、発達障害の種類と支援で大切なことを解説します。

 

発達障害の種類と特性

 

自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉症スペクトラム障害は
対人関係が苦手、強いこだわりを持った特徴をもつ発達障害の1つです。
早ければ1歳半くらいでその可能性を指摘されることもあります。

最近の研究では子どものおよそ20~50人に1人が自閉症スペクトラム障害と診断されると言われており
特に男性に多く女性のおよそ2~4倍という調査結果もあります。

主な特徴として
・言葉の行間を読む、意味を汲み取ると言ったコミュニケーションが難しい
・空気を読むといった人との関わりが苦手
・こだわりや興味に偏りがある
・急な予定変更や環境の変化に対応できない
といったことがあります。

 

注意欠如・多動性障害(ADHD)

ADHDは不注意と多動・衝動性を主な特徴とする発達障害の1つです。

ADHDの有病率は学齢期の小児の3~7%程度と考えられており
脳の前頭葉や線条体のドーパミンという物質の機能障害が想定され
遺伝的要因も関連していると言われています。

主な特徴としては
・物事に集中できず忘れっぽい「不注意」
・落ち着きがなくじっとしていられない「多動性」
・自分の感情や行動をコントロールできない「衝動性」
などが見られます。

 

学習障害(LD)

学習障害は基本的には全般的な知的発達に遅れはないものの
聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するといった能力のうち
特定のものの習得に著しい困難を占める状態を指します。

原因は中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されていますが
視覚障害、聴覚障害、知的障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因ではありません。

学習障害には
・読字障害(ディスレクシア)
・書字表出障害(ディスグラフィア)
・算数障害(ディスカリキュア)
などさまざまなタイプがあり、人によって症状の現れ方に差があるため、診断が難しい障害でもあります。

 

自閉症スペクトラム障害の子どもが困りがちなこと

発達障害を持つ人は、その特性から困りごとを抱えていることがよくあります。
ここからは発達障害の子どもに起こりやすい困りごとをご紹介します。

自閉症スペクトラム障害の子どもが困りがちなことは
・言葉の遅れ
・コミュニケーションが苦手
・こだわりの強さ・環境の変化が苦手
・癇癪・自傷行動
・感覚過敏
・感覚鈍磨
などです。

コミュニケーションが苦手でこだわりが強いため
我が強い、空気が読めないと誤解されやすく、集団に上手く溶け込めなかったり
友達と喧嘩をしてトラブルになったりすることもあります。

 

ADHDの子どもが困りがちなこと

ADHDの子どもが困りがちなのは
・集中力がない
・忘れ物が多い
・不注意が多い
・我慢ができない
・自分をコントロールするのが苦手
などです。

人の話を聞いたり、1つの事を長時間続けるのが苦手です。
じっと座っていることが難しかったり、順番を待つことが苦手で友達とトラブルになったりします。
また、忘れ物やうっかりミスが多く、整理整頓も苦手で、集団生活で叱られやすくなります。

 

学習障害のある子どもが困りがちなこと

学習障害のある子どもが困りがちなのは
・読むことが苦手
・書くことが苦手
・算数が苦手
といった学習に関することです。

学習障害の子どもは苦手な分野以外はそれなりにこなせることが多いため
他のことは出来るのになぜこんなことができないのか、と理解されにくいといった特徴があります。
サボっていると誤解されやすく、意欲低下につながってしまうこともあります。

 

発達障害のある子どもへの関わり方・支援で大切なこと

発達障害のある子どもは特性が理解されにくく
家庭内や集団生活で誤解されたり叱られたりしがちです。

そのため、自分に自信をなくしてしまったり、やる気を削がれたりして
不登校やひきこもり、うつなどの二次障害をおこしがちです。

このような二次障害を防ぐためにも特性に合わせた関わり方をすることが大切です。

 

声かけで大切なこと

発達障害のある子どもへは声のかけ方に気を付けてあげることが大切です。

ポイントは
・肯定語を使う
・短い言葉で具体的な指示を出す
ことです。

「○○しないで!」「ダメ!」
といった否定語は伝わりにくく
特に発達障害を持つ子どもは周囲に注意される頻度が高いため
否定語により自信をなくしてしまいがちです。
伝えるときは肯定語で伝えるようにしましょう。

また、発達障害を持つ子どもは曖昧な指示が苦手です。
「片付けて」では伝わりにくいため
「このおもちゃをあの箱に入れて」と具体的に伝えるようにしましょう。

 

環境づくりで大切なこと

環境づくりでは子どもが失敗しにくい環境を整えてあげることが大切です。

急なスケジュール変更があるとパニックを起こしたり癇癪を起したりする子どもには
あらかじめスケジュール変更になることを事前に伝えておきます。
その際、写真や表を使って視覚的に伝えるほか、変更になる理由を説明するようにします。

衝動性が強く、すぐに別のことを始めてしまう子供の場合は
あらかじめ気になりそうなものは片付けて視界から取り除いておくようにします。

 

少しずつステップアップしていく

ドリル1ページを解くという場合、子どもによって途中でつまづいてしまうことがあります。

そこで、1つの課題を細かく分割し、まず1問解いてみる、10分間集中してみる、など
小さなステップをクリアしていくようにします。

課題をクリアすれば子供のもっとやりたい気持ちを引き出すことができ
ゴールに向かっていくことができます。

 

専門の支援機関を利用することが大切

発達障害の子どもの親御さんの中には1人で抱え込んで悩んでしまっている方もいらっしゃいます。
市区町村や民間には発達障害の子どもや子育てをサポートするさまざまなサービスが存在します。

特に発達支援の分野では専門家が適切にサポートし
子どもの困りごとをひとりひとりに合った方法で解決に導く活動が行われています。
お子さまの発達で気になることがあったらまずは相談してみましょう。

 

発達障害者支援センター

発達障害のある子どもや大人、その関係者をサポートするための機関です。
全国にセンターがあり、保険・医療・教育・福祉など他の機関と連携しながら発達に関する相談を受けています。

 

児童発達支援・放課後等デイサービス

発達障害のある子どもが通うことでそれぞれに必要な支援やサポートを受けることができます。
原則として、小学生未満の子どもは「児童発達支援」
小学生~高校生の児童が通うことができるのが「放課後等デイサービス」です。

このほか、民間の幼児教室や学習教室で療育を受けることも可能です。

 

専門家のサポートを受けながら環境を整えるのが大切

発達障害のある子どもは特性に応じた環境を整えることが大切です。

環境づくりとそれぞれの特性に合った学びや生活の場を用意することで
困りごとは軽減されると言われています。

ご家庭だけで抱え込まず、専門機関や民間の専門サービスを活用しながら
お子様ご本人に合った支援をしていくことが大切です。