対人関係が苦手な自閉スペクトラム症の支援はどんな療育がある?

自閉スペクトラム症の人たちに共通するのは対人関係やコミュニケーションが苦手な点です。

それぞれ強さや特性は異なりますし、成長と共に変化していくことはありますが、先天性の物なので完全になくなることはありません。

発達障害にはさまざまな支援があり、支援サービスを利用して困りごとを解決する手助けになります。

そこで自閉スペクトラム症に関する発達支援をご紹介します。

 

自閉スペクトラム症とは

自閉スペクトラム症は対人関係が苦手、強いこだわりがある、などといった特性を持つ発達障害です。

「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」を総称して自閉スペクトラム症と呼びます。

自閉スペクトラム症は他者との関わりやコミュニケーションが苦手だったり、相手の気持ちのような曖昧なものを理解するのが苦手で、事実や理屈にこだわったり、臨機応変に対人関係を構築するのが難しく、他者から誤解を受けがちです。

対人関係での特徴は幼少期から見られ、年齢を重ねるごとに現れ方が変化します。

こういった特性があることで日常生活に支障をきたし、人によっては福祉的・医療的サポートが必要な人もいます。

 

自閉スペクトラム症の二次障害を防ぐためのサポートが大切

自閉スペクトラム症の子どもは、その特性から先生に叱られたり、友達とトラブルになることが多く、不安障害などの二次障害を起こす可能性が高くなります。

自閉スペクトラム症の一時障害は特性から生じる対人関係が苦手でこだわりが強いという問題です。
療育により、支援を行うことで問題を軽減していくことが可能です。

二次障害は対人関係が上手く行かないことなどによるストレスやトラウマが引き金となって起こります。
家庭で叱られたり、学校で先生や同級生とのトラブルにより仲間外れになる、勉強についていけず遅れてしまうなど生活の中で挫折を味わうリスクが多くなります。

自分に自信を失ってしまい、頭痛、食欲不振、チックなどの身体症状や、不安症、うつ、興奮しやすいなどの精神症状が出現し、不登校や引きこもり、暴力などに発展していく可能性があります。

自閉スペクトラム症の子どもに大切なことは、なるべく早く特性に気づき、日常生活の困難を軽減するためにも適切なサポートをすることです。

家族や周囲の人のサポートのポイントは、その子の特性を直そうとせずに違いととらえてその子に合ったサポートを行い、ストレスを感じにくい環境に整えることです。

 

自閉スペクトラム症の支援は「療育」が基本

自閉スペクトラム症の支援は療育が基本となります。
ひとりひとりの子どもの困りごとや特性に合わせた療育は本人のできることを少しずつ増やしていき、生活する上での困難を減らすサポートとなります。

療育は地方自治体の療育センター等の公的な施設のほか、民間の施設でもサービスが提供されています。
児童福祉法に基づく児童発達支援センター、児童発達支援事業所、放課後等デイサービス事業所を利用するには「通所受給者証」が必要です。
通所受給者証は自治体の障害福祉課・保健センターなどに申請して発行してもらいます。

療育には集団療育と個別療育があります。

集団療育は2~10名程度の少人数のグループで遊んだり、ゲームをすることでコミュニケーション能力、社会性、みんなといるときのルールを身に付けることができます。

人と一緒に行動することが苦手、パニックになってしまうお子様の場合はまずは個別療育を受け、集団で過ごせる状態になってから少しずつ集団療育に挑戦していくという流れとなります。
個別教育はスタッフとマンツーマンでご本人の発達段階や困りごとに合わせたサポートをそれぞれのペースで受けることができます。

集団療育か個別療育かは利用開始前の面談でスタッフとよく相談して決めていく事が大切です。

 

保護者を対象にしたサポートプログラムもある

発達障害のサポートには保護者の支援を目的としたプログラムもあります。
保護者向けサポートは地方自治体の発達障害者支援センターなどのほか、民間の支援団体等でも開催されています。

 

ペアレント・トレーニング

ペアレント・トレーニングは保護者が子どもとのより良い関わり方を学びながら日常の子育ての困りごとを解消し、子どもの行動改善や発達促進を目的とした保護者向けのプログラムです。
プログラムの種類にはさまざまあり、講義やグループワーク、ホームワークを中心とした構成で数回~数十回に分けて行っています。

 

親子通園

子どもの療育に保護者が同伴して親子遊びや教材などを一緒に行うプログラムです。
子どもの様子を客観的に見ることが出来る点がメリットですが、通う頻度や期間によっては保護者やそのご家族の方への負担となることがあります。

親子通園をするかどうかはご家族の気持ちとよく相談して決めると良いでしょう。

 

ピアサポート

ピアサポートとは同じような立場や課題に直面する人どうしがお互いに支え合うことを言います。
大人の発達障害では当事者同士で支え合い活動を行うことが多いのですが、子どもの発達障害では同じ困りごとを持つ保護者同士が集まり、経験を語り合ったり、相談したりします。
当事者だからこそ分かる話ができ、共感し合える環境は精神的なサポートに繋がります。

 

ペアレント・メンターによるサポート

ペアレント・メンターは発達障害を持つ保護者が研修を修了し、現在発達障害の子どもの子育てで頑張っている保護者の相談にのったり、アドバイスするプログラムです。
地方自治体の精神保健福祉センターや発達障害者支援センターに問い合わせて利用することができます。

 

ニーズに合わせた支援を利用することが大切

自閉スペクトラム症への支援はそれぞれの特性の強さやニーズに対応することが大切です。
また、年齢やライフステージに応じて途切れなくサポートを継続する必要があります。

ひとりひとり必要なサポートは異なりますので、優先するべきサポートも支援機関のスタッフと相談しながら行っていく必要があります。
気になることがあれば地方自治体の窓口に相談してみると良いでしょう。
具体的な支援の情報を知りたい場合は民間の支援団体に問い合わせてみるのも1つの手です。