発達障害者支援の現状の課題・支援のあり方とは

発達障害を持つお子さまへは市町村や民間でさまざまな支援が行われており
サービスの設置が普及しつつあります。

とはいえ、まだまだ課題が多いのも現状です。

ここでは発達障害者支援の現状の課題や
現在行われている支援・サービスの種類等についてご紹介します。

 

発達障害の特性

 

特性の現れ方が個人によりさまざま

発達障害の特性は人との関わり、行動、学習面などで偏りや困ったことが現れるケースが多いとされ
その現れ方は年齢、環境、個人によりさまざまです。

しかし、特性に配慮した対応やサポートを行うことにより
さまざまな困難が軽減され、安定した社会生活を送ることが期待できます。

 

見えにくい障害である

発達障害は目に見えにくい特性であるため
本人の性格、親のしつけ、本人の怠けと捉えられがちです。
他人や家族からなかなか理解しにくいという特徴があります。

成長とともに自然に身につくことが身についていかない
学習に励んでもなかなか会得出来ない
日常生活で周囲の人との関係が気づけないなどといった
「生活のしづらさ」を本人や保護者が自覚することで
社会生活において生じるさまざまな困難な状況に応じて支援を求めることができます。

 

二次的な障害の恐れがある

発達障害を持つお子さまはその特性からさまざまな困難を抱えています。

しかしその特性に周囲が気づかないだけでなく、本人も気づいていないケースも多く
自分の気持ちをうまく表現できなかったり相手の気持ちをうまく理解できないことから
保護者や先生からいつも叱られたり注意されたりしてしまうことがあります。

さらにできないことを友達からからかわれたり笑われたりして自信を無くしてしまい
強いストレスを受けていることがあります。

こうしたことがきっかけで不登校や引きこもりに繋がったり
うつや双極性障害などの二次的な障害を引き起こすことも稀ではありません。

 

発達障害児支援の課題

各地方自治体や民間団体では
発達障害を持つお子さまや保護者に対してさまざまなサポートやサービスを提供しています。
しかし、まだまだ課題があるのが現状です。

 

相談窓口の課題

相談窓口や支援機関に繋がらない保護者やお子さまがおり
福祉サービスの提供が必要な人に届いていないことが課題となっています。

また、困りごとに関してどこに相談したら良いのか分からないという方に対して
スムーズに窓口に繋げる仕組みづくりも大切です。

 

地域とのつながりの課題

障害をもつお子さまはその家族も含め
地域住民との接点が少なく、地域との繋がりが希薄な傾向があります。

民生委員を始めとした支援者となり得るさまざまな地域資源を結び付けていく仕組みづくりが必要です。

 

保護者支援の不足

子育てに不安を抱える保護者やご家族は1人で悩みを抱えがちです。
このような保護者やご家族への支援がまだまだ不足しています。

 

児童発達支援センターの役割

障害を持つ子どもへの発達支援、家族支援に加えて
今後は保育所・幼稚園等の地域の子育て支援機関等とのネットワークづくりなど地域支援に力を入れていく必要があります。

また、児童発達支援センターでは地域の保育所や幼稚園等と連携した新たな取り組みを模索する必要も考えられます。

 

学校との連携

義務教育段階では子どもの教育は学校の中でのみ完結するような仕組みになっており
学校側も家庭支援や福祉との連携の必要性は認識していながらも
それが十分にシステムとして機能していないことが懸念されています。

 

既存の社会資源の活用

支援者が主体となり、子どもと家族に関わり続けていく事ができるように1つの事業所でさまざまな役割を負い
継続的にサポートできるように多機能化なども考えていく必要があります。

 

障害者支援に関わる人材不足

支援者の人材育成、特に障害をもつ子どもへの相談支援事業所や相談支援専門員などのスタッフのスキルアップが課題であるとともに、支援者を支える仕組みも必要です。

 

発達障害を持つ人へのさまざまな支援

 

療育

療育は子どもの状態や特性に合わせたプログラムで、出来ることを少しずつ増やし
本人の力を引き出して生活上の困難を減らす助けとなります。

療育には集団療育と個別療育があり集団療育は約2名程度~約10名程度の少人数のグループで
ゲームをしたり遊んだりすることにより集団生活中での社会性を身に付けることできます。

個別療育は子どもと専門スタッフによるマンツーマンで
発達段階やニーズに合わせた指導を本人のペースで受けることができます。

 

学校での合理的配慮と特別支援教育

発達障害の子どもが充実した学校生活を送るために
「合理的配慮」や「特別支援教育」を受けることができます。

通常の学級での授業が適している子どもはひとりひとりの障害の状態やニーズに合わせて合理的配慮を受けることができます。
合理的配慮には学習支援員の配置や気持ちが落ち着かない時に使用できる部屋の用意などが可能な範囲で行われます。

個別性の高い授業を受けるのが適している子どもには
「特別支援学級」「通級指導教室」「特別支援学校」などがあり、専門性の高い配慮をすることができます。

 

療育手帳・精神障害者保険福祉手帳

基本的に知的障害がある場合には「療育手帳」。

知的障害を伴わない場合には「精神障害者保健福祉手帳」の申請対象となります。
手帳を取得すると税金の優遇や公共料金の割引
公共交通機関などの無料化または割引などのサービスを受けることができます。

 

保護者へのサポートプログラム

発達障害の子どもを持つ保護者を支援するさまざまな取り組みもあります。

保護者を対象にレクチャーや教材を利用したワークなどを通じて子供との関わり方を学んだり
同じ悩みを持つ保護者どうしが集まり、お互いの体験を語り合ったり、相談しあったりするプログラムが多数あります。

発達障害の子どもを持つ親が1人で悩まず、情報収集したり経験者に質問や相談できる場でもあります。

 

民間施設のサービスも活用していくことが大切

発達障害を持つお子さまは周囲との関係性や学習などが上手く行かずに悩まれることが多くあります。

しかしそれは劣っているという訳ではなく、脳の働き方が異なるという個性ですので
ご本人に適した支援方法を見つけることが大切です。

市町村の機関では特性に応じたさまざまなサービスが提供されていますが、まだまだ課題も多いのが現状です。
発達支援サービスは民間団体もさまざまな活動を行い、支援を提供していますので
ツールの1つとして上手に活用してお子さまのニーズに合わせたサポートをしてみてはいかがでしょうか。