発達障害の子がいよいよ小学校へ就学することになったとき、学校では発達障害の支援が受けられるのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
また、特別支援学級なのか、通常学級がなのか、どちらを選べば良いのか分からないという方もいるはずです。
実際多くの方がこういった悩みや不安を持っているため、発達障害の子に対しては慎重に検討しているケースも少なくありません。
今回は、学校で行われている特別支援学級や通常学級での発達障害の児童に対する支援体制について解説します。
実は支援が充実している学校の受け入れ態勢
学校や地域によるものの、発達障害の児童を受け入れる体制は、いくつか用意されています。
通級指導教室
まず、通級指導教室は、いわゆる通常学級です。
この場合は通常学級に在籍しながら、週に何時間かは別の教室で通常学級では学びにくいことを学ぶようにします。
子どもの状況によって学習内容が異なり、発達障害の児童も、その程度によって対応が異なる点が特徴です。
ただ、基本は自立活動が中心となっているので、自主性を求められる場面も少なくありません。
そのため、発達障害があることで過ごしにくさを感じることもあるでしょう。
もちろん発達障害を持っていても、そう言った環境に適応できそうであれば、通級指導教室でも問題ないはずです。
特別支援学級
特別支援学級は小学校内にある特別な学級で、1学級あたり8名程度が定員です。
通常の学級とは異なり、特別支援学校の学習指導要領が適用となるのが特徴です。
かつては、特殊学級と呼ばれていましたが、平成19年の学校教育法改正に伴って現在の名称になっています。
名称が変わっただけでなく、発達障害の児童にも注目したカリキュラムが組まれるようになりました。
この指導要領によって、画一的な通常学級とは異なり、個々の状態に合わせて柔軟なカリキュラムを学んでいくのが特徴です。
この学級に関しては、各自治体の教育委員会によって指針が大きく変わってしまっていることもあるので、詳細は進学予定の自治体にある教育委員会のホームページを確認してみましょう。
地域によっては、通常学級の特定の授業を受ける「交流学級」や「共同学習」を実施している場合もあります。
ちなみに全国の小学校でこの学級を置いているのは約79%と、ほとんどの小学校に存在しますが、一部では設置されていないところもあるので注意が必要です。
特別支援学校
今回の話題とはそれますが、特別支援学校もあります。
こちらは、小学校のような通常学校とは異なり、1クラス6人が標準で特別支援学校の学習指導要領を適用させて、より個々にあったカリキュラムで学習を進めていきます。
これらの中から選択をしていくことになりますが、次の項目ではそのポイントについて解説します。
発達障害の支援を学校で受ける場合の選択の目安は?
発達障害の支援を学校で受ける場合の選択目安として挙げられるのが次の4つです。
子どもの状態を確認
最初に子どもの状態を確認しましょう。
どのような支援を受けたり、配慮がされれば快適に過ごせるのか紙に書き出してみることです。
そのうえで家庭内で話し合いをしたり、子どもが通っている幼稚園・保育園や療育施設のスタッフに相談をしたり、あるいはかかりつけ医といった医療機関で聞いてみると、より明確に選択できるでしょう。
教育委員会に相談
先ほども触れたように自治体によって発達障害の支援が変わってきます。
通級指導教室、特別支援学級や特別支援学校の種類や数は、大きく異なるのです。
それに定員も、あくまで国の指針なので自治体によって異なることも珍しくありません。
こういった状況の中で情報収集することも重要です。
まずは、自治体のホームページを見て学級の配置状況を確認するといったことがおすすめです。
分からないことも少なくないため、その場合は自治体の教育委員会へ相談してみるのがおすすめです。
もし、同じ自治体内に住んでいる先輩の保護者の方がいたら、アドバイスを受けると選択がスムーズになる場合もあります。
見学
実際に子どもと情報収集をしに行くのもいいかもしれません。
学校へ事前に連絡をして見学をするのです。
通常学級の雰囲気や特別支援学級の雰囲気も学校によって異なります。
実際に見学をしてみて、子どもが合っているかどうかを確認してみましょう。
子どもが快適な場所を選ぶ
最後は、子ども自身が学びやすく快適な場所を選ぶことです。
ここまでの情報や子どもの様子を見て、子どもにとって必要な支援が受けられる学級を選ぶようにします。
子どもの成長に応じて在籍学級も変更できるため、まずは入学させてみて支援を受ける学級や学校へ通学させた様子を確認することが重要です。
現在はインクルーシブ教育が叫ばれている
インクルーシブ教育は現在のように障害の有無で学級や学校を分けるのではなく、障害の有無を考慮せずに一緒に学習することを言います。
この教育方針は、日本で始まったものではなく2006年に国連で採択された「障害者の権利に関する条約」の中に記されたものです。
日本では、2013年からインクルーシブ教育に基づいて法令の改正が開始され、2019年には額数指導要領の改訂も行われました。
さらに、2021年に特別支援教育の方向性が明記され、障がいのある子とない子が可能な限り一緒に教育を受けられる条件の整備をしていくと明言されています。
まとめ
今回は、発達障害の状態に応じてどのように学ばせればよいかというポイントを紹介しましたが、現在の流れを考えると通常学級とつながりがより深くなっていく可能性があります。
その中で、発達障害のある子がどのように学んでいくかということは重要となるでしょう。
いずれにしても、その子が学校へ楽しく通えるような環境をこちらが用意するということに変わりはありませんから、今回紹介したポイントを押さえて環境選びを進めていきましょう。
そうすることで、本人の能力が十分に引き出せ、その子らしさを発揮して成長し、自立あるいは自立を目指して生きていくはずです。