「本人・家族・周囲」発達障害との向き合い方のポイント

発達障害は、本人、家族、そして周囲の人という立場の違いから向き合うためのポイントが異なります。
支援や理解といったものや本人が発達障害だった場合の向き合い方は、まったく別のものです。

そこで今回は、発達障害との向き合い方のポイントについて解説していきます。

 

発達障害との向き合い方は3つの見方がある

発達障害と向き合うということは、問題となっている行動や考え方、接し方といった現実を直視することです。
ただ、この直視するということは簡単なことではありません。

本人が何となく生きにくいと感じているとき、家族が何か周りの子どもとは違うと感じたとき、仕事や学校で同僚や同級生が発達障害のような人間だと思ったとき、事実を直視するのはショックであったり、困惑であったりするでしょう。

しかし、その内容は、本人、家族、周囲とそれぞれ異なった向き合い方があります。
次の項目ではそれぞれの向き合い方のポイントについて解説していきましょう。

 

自分自身が発達障害だった場合の向き合い方のポイント

発達障害が自分自身にある場合、程度によっては自覚することも多くあります。

そこで、生き辛さを感じたり、なぜ良いか分からなくなったりといったことから、さらにうつ病、強迫性障害などの精神疾患にかかってしまうという二次障害が発生することも少なくありません。

また、発達障害と認定されることなく、学生や社会人になってしまい、失敗や不注意が多いことから自分自身の判断で精神科を受診したことによって発覚するといったことがあります。

このような場合は、支援を受けたり、周囲にサポートを求めたりといったことがポイントです。

まず、支援としては、発達障害者支援センターへの相談が挙げられます。
この施設は、発達障害に関するあらゆる相談を受け付けている機関であり、各都道府県に1つ以上あります。

ここへ連絡して相談することで具体的な支援の案内や悩みの相談を受け付けてくれるでしょう。

また、学生の場合は学生相談室(スクールカウンセリング)で相談することによって支援を受けられる機関の紹介や、発達障害支援センターと連携を取ってくれます。

並行して周囲にサポートをしてもらうこともポイントです。
会社であれば、発達障害の診断を受けたことを上司や勤務先に伝えて、必要に応じた支援を受けるようにしましょう。

ただ、発達障害の病名だけを伝えてしまうと、極端な配置換えをされてしまうことも多いので、この業務では発達障害の特性によって支障が出やすいと説明をするようにしましょう。

可能であれば、診断を受けた医療機関で具体的にどのようなことができないのかについて相談するのもポイントです。

学校であれば、再び相談室で相談し、卒業できるようにするためのプロセスについて具体的な行動を確認するのも良いかもしれません。

このように周囲と相談して対処するようにすることが重要であり、決して1人では悩まないようにしましょう。
1人で悩んでしまうと、冒頭のような二次障害を発生させてしまうため、問題がより深刻になってしまいます。

まずは発達障害支援センターや医療機関へ相談するようにしましょう。

 

家族が発達障害だった場合の向き合い方のポイント

子どもの様子がおかしいと感じるのは、家族が最初のことが多くあります。

そして、発達障害の専門医を受診したら、子どもが発達障害だったということは少なくありません。
そういったとき、どのように対処すればよいのでしょうか。

このような場合の子どもに接するポイントや支援について説明します。

まず、子どもに接するポイントとして伝え方のコツがあります。
そのコツは、直接、簡潔、具体的に、論理的に、といった点です。

直接伝えるコツは、どうすれば良いのかを示すことです。
周りがやっているからというように歪曲的に伝えるのではなく、「片づけるよ」「帰るよ」と伝えるようにしましょう。

何かしてもらいたいときは、簡潔に伝えることです。

例えば、この宿題を終わらせて、というように話すことです。
○○して、△して、それから宿題をやって、終わったら遊んでねという言い方は良くありません。

具体的に伝えることもポイントです。
部屋の片づけをするとき、「○○と△をかばんに入れて」と具体的に指示しましょう。

論理的に伝えることも意識します。
いじわるしちゃだめというのではなく、お友達に鉛筆を返してあげなさいと伝えるようにしましょう。

まずは結論から話し、何をするべきかが子どもにわかるようにすることが大切です。

支援としては、子どものときに発覚することが多いので、発達支援センターや直接発達障害の支援を行っている放課後等デイサービスなどの事業所に相談するのがポイントです。

必要に応じて医療機関の受診を紹介されるので、そこを受診して発達障害の診断を受けたら、支援が必要かどうか判断してもらい、障がい者認定の審査を申請してもらいます。

そうすることで、具体的な支援が受けられるでしょう。

 

発達障害の方との向き合い方のポイント

発達障害の方が学校にいたり、あるいは職場にいた場合といったことは、決して珍しくありません。

こういった場合は、発達障害とはどのようなものか理解することが重要で、その状態を知ったうえで具体的な支援をすることがポイントです。

発達障害は簡単にいえばいくつかのタイプがあり、それぞれによって特性が異なります。

たとえば、自閉症スペクトラム(かつてのアスペルガー症など)は、相手の表情や態度などよりも、文字や図形、物の方に関心が強いことや、見通しが立たないと不安になるところ、感覚刺激への敏感さがあることが多い傾向です。

限局性学習障害は、読み書き計算が苦手な傾向です。
注意欠如・多動性障害は、周囲のペースよりも精力的に取り組むものの、長続きしないことが挙げられます。

また、吃音やチックなどを持っている方や身体の動きがぎこちない方もいます。

このような特性に対して、理想は専門家や専門医に相談することですが、難しい場合は次のような対応をするようにしましょう。

1・困っていることがあれば声かけする
2・困ったらどうすれば良いか具体的な指示をしておく(○○に聞きなさい等)
3・そっとしておきつつ、指導・管理担当者等に一声かけておく

 

まとめ

発達障害は自分自身、家族、周囲によって対応方法や支援が異なります。
今回はそれらについて簡潔にまとめました。

いずれにしても発達障害を持つ方に対して必要な支援を適切なタイミングで行いつつ、問題やさまざまな機会を利用して周囲も理解を深めることが重要です。