発達支援(療育)とは!?発達支援の目的や支援の方法を解説

障害があるお子様ひとりひとりの発達や特性に応じて
困りごとの解決や、将来の就学のための自立や社会性の向上を支援することを
「発達支援」と言います。

ここでは発達支援とは何か、目的や方法などについてご紹介します。

 

発達支援(療育)とは

発達支援とは、障害のあるお子様や障害の可能性のあるお子様に対して
それぞれの発達の状態や特性に応じて、現在の困りごとの解決と
将来的な自立と社会参加を支援することを言います。

「療育」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが
発達支援と療育はほぼ同じ意味で使用されています。

元々療育とは身体障碍のあるお子様への社会的自立に向けた支援という意味でしたが
近年では知的障害などの障害も対象となっています。

発達支援では発達が気になる程度の子ども等も対象とし、日常生活の基本的な動作など必要な支援を行います。
また親や家族への支援や保健所など地域機関への支援も含まれています。

 

発達支援の目的

日常生活に必要な能力を身につける

療育が必要なお子様は身支度や基本的な運動、学習などの日常生活が困難な傾向があります。

療育により日常生活に必要な能力を身につけることで
将来的に自立して生活を送れるように支援します。

 

社会性・コミュニケーション能力を身につける

特に発達障害を持っている方は「話を聞く」「待つ」などのコミュニケーションや
社会性の発達が遅れる傾向があります。

社会集団の中で円滑にコミュニケーションをとる能力を身につけることも発達支援の目的です。

 

自己肯定感を高める

障害のある方は周囲の人よりもできないことが多く、劣等感を感じやすくなります。
療育によってできることを増やして自信と自己肯定感の高まりを目指します。

 

発達支援の方法

薬物療法

発達障害の二次障害として不安や抑うつ気分が強くなった場合に
症状に合わせた薬を服用して症状の緩和を期待する対処療法として利用されることがあります。

ただ、薬である以上副作用の可能性もあるため、医師と相談しながら行っていきます。

 

食事療法

食事を改善することで脳に不足しがちな栄養素を補い
体調を整えて生活の質を向上する効果が得られると考えられています。

逆にグルテンやカゼインを除去した食事をすることで
自閉症の行動面、学習面の改善を目指すという方法も研究が進んでいます。

 

音楽療法

音楽を聞いたり演奏したりすることでソーシャルスキルや運動機能の発達を促したり
ストレスの軽減を目指す方法です。

子どもが音を奏でたり、リズムを取る能動的音楽療法と
音楽を鑑賞する受動的音楽療法に分けられます。

具体的な効果の証明はされていませんが、音楽が好きなお子様であれば
スキル向上につながることがあるかもしれません。

 

作業療法

作業療法士が行う療法です。
自閉症のある子どもの感覚統合の失調を回復へ促すことなどを目的としています。

ハンモックやブランコに乗せて揺らしたり、平均台を使ってバランス感覚を保つなど
個々の子どもの感覚上のニーズに基づいた活動を選択します。

 

TEACCH(ティーチ)

ティーチは、米国で始まった自閉症の方やそのご家族を対象とした包括的なプログラムです。
何をするべきか視覚的に分かりやすくすることでスキル向上を目指します。

視覚的な支援でスケジュールの理解を促す、環境整備をして過ごしやすくするといった目的で使われます。

 

発達支援には個別療育と集団療育がある

子どもに必要な支援は1人ひとり異なります。

発達支援の機関により方法はさまざまですが、支援機関に通所する療育には
大きく分けて「個別療育」と「集団療育」の2種類があります。

 

個別療育

子供とマンツーマンで行う療育です。
集団に入っての療育が苦手な子どもや、1対1の指導の方が適している場合は個別療育が選ばれます。

本人の特性に合わせて応用行動分析学や作業療法、言語療法などを行います。

 

集団療育

5~6人程度のグループでゲームや制作遊びなどを行います。
他者と関わりながらコミュニケーションや社会性を学んでいきます。
音楽療法や感覚運動などを行うこともあります。

臨床心理士や言語聴覚士、作業療法士、保育士のような専門家によって行われることが多く
親子で参加することもあります。

 

子どもの発達障害の相談窓口

発達障害を持つ方は「発達障害支援法」により行政の福祉サービスを受けることができます。
専門的な支援を受けたり、相談をすることができますし、早い段階で相談することで
将来を見据えた適切な支援を受けることができますので、発達が気になる場合は相談しましょう。

相談窓口は主に地方自治体が設置していますが、具体的な相談窓口をご紹介します。

 

保健センター

保健センターは地方地自体が設置している機関です。
幼児検診、予防接種、がん検診を開催したり、母子保健、老人保健に関する相談を行っています。

発達に関する相談や医療機関の紹介も可能ですので
子どもの検診のタイミングで相談してみるのも良いでしょう。

 

児童相談所

児童相談所は各都道府県と政令指定都市に設置されています。
児童相談所では0~17歳の児童に関するさまざまな悩み事の相談を受け付けています。

発達紹介の相談をはじめ、発達検査などを受けることができ
また医師、児童福祉士、保健師、児童心理士、言語聴覚士などの専門家からアドバイスを受けることもできます。

 

子育て支援センター

厚生労働省の子育て支援事業として設置された施設で、自治体や民間委託により運営されています。

育児不安についての相談の受付や療育に関する適切な機関の紹介等も行っています。

 

発達障害支援センター

発達障害者支援法に基づいて設置されている施設です。
発達障害の支援を専門的に行っており、各起案の協力をもとに支援を行っています。

家庭での療育についてのアドバイスを受けることができたり
必要な場合は福祉制度の利用や医療機関の紹介も可能です。

 

発達支援は子どもの未来のためのサポート

発達支援は障害を持つお子様が将来に渡って生活を送るための重要な支援です。
発達に障害を持つお子様は1人ひとり成長のスピードや家庭が異なりますので
その子に最も適した方法や環境で療育を行うことが大切です。

発達が気になる場合はまずは地方自治体の相談窓口や民間の事業所へ気軽に相談してみましょう。