発達障害の一つ、自閉スペクトラム症の海外の支援プログラムとは?

発達障害の一つに自閉スペクトラム症(ASD)があります。

このASDに対して支援を行うプログラムが海外米ノースカロライナ州で実施され、現地に住む多くのASDの方が支援や相談を受けています。

今回は、米ノースカロライナ州で実施されている「TEACCHプログラム」について、どのようなものか紹介していきましょう。

 

自閉スペクトラム症(ASD)とはどのようなものか?

最初に自閉スペクトラム症とはどのようなものかについて解説していきましょう。

自閉スペクトラム症は以前、自閉症、アスペルガー障害、広汎性発達障害と呼ばれていた発達障害の一つで、近年一つにまとめられた疾患概念になります。

特徴としては、次のようなものがあります。

・対人関係が苦手
・こだわりの強さ

とにかく人と接するのが苦手で、早ければ一歳半の乳幼児健診で指摘を受けるようになりました。
対人関係が苦手、こだわりが強いといった特徴は、自閉スペクトラム症の方でなくとも、多少存在します。

しかし、自閉スペクトラムの方は非常にこの傾向が強く、社会生活を送るうえで支障をきたすことが少なくありません。

一例として、
・表情が乏しいまたは不自然
・呼ばれても反応しない
・言葉や身振りで伝えられない

もちろん、これは自閉スペクトラム症でなくともみられることはあるため、専門の医師や心理士による診断や判断が求められることは知っておきましょう。

また、こういった傾向から自閉スペクトラム症を放置してしまった場合、二次障害といって次のような症状が引き起こされます。

・身体症状:頭痛、腹痛、食欲不振、チックなど
・精神症状:不安、うつ、緊張、興奮しやすさなど
・社会的な障害:不登校やひきこもり、暴言・暴力、自傷行為

こういった障害が起こる前にさまざまな支援が求められ、世界では多くのプログラムが打ち出されています。
次の項目では、冒頭で解説したTEACCHプログラムについて解説していきましょう。

 

TEACCHプログラムの概要を紹介

自閉スペクトラム症に対する生涯にわたる支援として、アメリカ合衆国の南東部にあるノースカロライナ州では、TEACCHプログラムが実施されています。

これは本人だけでなくその家族に対しても行われる支援であり、次のような複数のサービスを組み合わせたものになっています。

・自閉スペクトラム症児の診断・評価
・構造化を特徴とした療育プログラム
・自閉スペクトラム症の本人の就労支援
・家族や支援者へのサポート

自治体と大学によって行われる官学一体となったプログラムであり、そこに本人、家族、各分野の専門家、さらには地域コミュニティが一体になって運用されています。

なおTEACCHとは「T」reatment and 「E」ducation of 「A」utistic and related 「C」ommunication-handicapped

「CH」ildrenの略で、自閉症および、それに準ずるコミュニケーション課題を抱える子ども向けのケアと教育という意味になります。

ここまで自閉スペクトラム症に対する専門のケアというニュアンスの説明をしてきました。

しかし、実際はそういった段階になくともコミュニケーションに対して課題を持っている方向けのケアであり、子どもだけでなく就労支援に至る生涯にわたってサポートするプログラムでもあります。

 

EACCHプログラムの特徴や目的は?

発達障害の一大プログラムであるTEACCHプログラムは、5つの特徴があります。

・自治体規模の介入
・生涯にわたる支援
・文化としてとらえる
・親の療育への関与
・教育の構造化

 

自治体規模の介入

まず、日本と同様に公的な介入が行われています。
さきほども触れたように大学と共に公的機関もこのプログラムに関与しているのです。

たしかに日本では主に市区町村が受給者証の発行などを行ってサービスを提供する支援を行っています。

しかし、TEACCHプログラムでは、ノースカロライナ州政府が全面的にバックアップを行って州全体を通じて支援しているなど、規模が大きいのが特徴です。

 

生涯にわたる支援

幼児から成人、青年から老年に至るまで、全ライフステージにわたって支援を行っています。

地域で生活する発達障害の方に対して州全体で支援を行っているので、どのような世代であってもプログラムによって支援を受けることが可能になっています。

このように長期的な視点で支援を行っているのも特徴といえるのです。

 

文化としてとらえる

ユニークな特徴として、自閉スペクトラム症の方の行動様式を文化として見るという考え方です。

安易に多数の自閉スペクトラム症でない人々の文化を押し付けたり、行動様式を押し付けるのではなく、本人にとって快適な行動様式を法律に逸脱しない範囲で認めるということが挙げられます。

この文化として見るという点は、TEACCHプログラムのかなり印象的な特徴といえるでしょう。

 

親の療育への関与

自閉スペクトラム症の子どもを持ってしまうと、親は案内された専門家にすべてをゆだねがちです。

しかし、このプログラムでは、直接介入を行っている専門家と同等の介入を親が療育面で関与することを求めています。
同様に家族など肉親が本人に対してできうる限りの支援を行うように、指導や支援を行うこともプログラムの特徴です。

 

教育の構造化

自閉スペクトラム症を持っていると予測不能な状況が苦手という特徴があります。
一方で、構造化されたものについては理解しやすい傾向が見られます。

その点に注目し、整理され、構造化された環境をつくることで教育効果を高めるといったことも行われているのが特徴です。

たとえば、会話によるコミュニケーションをあまり用いず、「実物」や「イラスト」、「写真」、文字が読めるようになったら「文字」を使って教育します。

こうすることで、より効果的に本人へさまざまな情報を伝え、学習できる環境を提供できるのです。

 

まとめ

発達障害の一つ、自閉スペクトラム症に対してアメリカのノースカロライナ州で実施されているプログラムについて、解説しました。

すでに現地では1972年から開始されており、多くの改善を経て世界的にも注目すべき発達障害のプログラムを構築しています。

日本でも視覚的構造化によるカードを使った教育が導入されており、日本への影響も与えているプログラムといえるでしょう。